Story『弱さと共に強く在る』
2015.05.16 言葉人日記
3月3日、一件の依頼が入った。
きっかけはInstagram。
神奈川県在住の方だった。
「結婚して親元を離れるので、両親へ家族全員の名前で書いた作品を贈りたい。」
作品の打ち合わせに入り、家族構成を尋ねた。
父、母、姉(依頼主さん)、弟…の4人家族
…だったそうだ。5年前までは。
弟さん、5年前に19歳という若さで不慮の事故で他界されたという。
メールの本文には、
残された家族3人がある日突然真っ暗闇に突き落とされたこと、
それでも、家族で支えあって5年たった今、笑い合えるようになったことが
綴られていた。
軽はずみな言葉は書けない。
両親の5年間の想い、姉の想い、弟が今伝えたいこと、
その見えない部分へ思考を広げていく。
すると、いろんな想いが溢れてきた。
「昔、家族や友達と語りあった未来には、当たり前の様に“4人”の家族がいただろうな」
「家族そろって迎える今が一番幸せなのは間違いない。でも、きっと形は違っても1人欠けた今でしか気が付けなかった事があるんじゃないかな?それは、命の大切さだったり、人の優しさだったり、家族の絆だったり…するんじゃないかな?」
「きっとさみしさは消えない。反抗期だった弟とのケンカの思い出も、伝えておけばよかった…という後悔もきっとあふれてくるんじゃないかな」
「そんな、さみしさや後悔と
強がりに似た強さを持って5年間生きてきたんじゃないだろうか。」
依頼の作品は名前で綴る言葉としてお届けしたのだ
けど、
そのあともこのご家族の事を思いだしては
あれやこれや考えてたら
浮かんできたフレーズがある。
そのフレーズからイメージを広げて書いたこの詩は、
家族を亡くし、それでも強くたくましく生きるご家族から学んだ、大切な想いです。
【弱さと共に強く在る】
昔、だれかと共に思い描いた未来とは
違う「今」があって
でも、きっと
そんな「今」でしか気付けない大切な事があって
時々あふれてくる後悔やさみしさと一緒に歩いていくんだ。
仕方ないんだって
それでいいんだって
自分の心とケンカして
強く強く生きていくんだ。
幸せを願って。
2015年5月16日
詩太
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